住宅業界を震撼させた熊本地震の衝撃 震度7×2回でもそのまま住み続けられる家とは

2016年4月熊本地震

20164142126分、熊本県熊本地方においてマグニチュード6.5の地震が発生し、熊本県益城町で震度7を観測しました。

また、16125分にはマグニチュード7.3の地震が発生し、益城町及び西原村で震度7を、熊本県を中心にその他九州地方の各県でも強い揺れを観測しました。

 

これが本震でした。

 

倒壊、損傷もせずそのまま住み続けられる建物があった

熊本地震は前代未聞の震度7が連続して起こるという未曾有の大地震となりました。

 

建築基準法で決められているのは、命を守る最低基準ですから健全な状態でも、一度倒壊をまぬがれるのがやっと。2度目の震度7では倒壊するのは当たり前です。

 

熊本地震で2回の震度7でもそのまま住み続けることができた家がありました。

 

結論からいうと、それは「耐震等級3の強さをもった建物でした。

 

 

 

 

 

 

 

出典:耐震等級3のススメ_くまもと型住宅生産者連合会

熊本地震では、とりわけ大きな被害が生じた益城町中心部では※悉皆調査が行われました。

※悉皆(しっかい)調査:調査対象物件をもれなく調査する方法

 

 もちろん、古い建物の被害が大きかったのですが、2000年以降に建てられた築浅の建物の倒壊や全壊があったのは、住宅業界を震撼させました。中には耐震等級2の建物の被害もあったそうです。

 

 

やはり古い建物の被害は大きかった

やはり、昭和56年=1981年以前に建てられた、いわゆる旧耐震基準の建物の被害がとても大きかったとのことです。

 

香川県では耐震診断や耐震補強に補助金が出るのは昭和56年以前に建てられた建物というのが示すとおり、旧耐震の建物は劣化していなくても安全とはいえません。

昭和56年の建築基準法の改正で、耐震基準の強化が行われました。具体的には必要な壁量と部材の壁倍率の見直しです。

 

より、耐力壁がたくさんいるようになり、一般的な筋交の壁倍率(強さの計算値)が減らされ、安全側に計算されるようになりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

出典:耐震等級3のススメ_くまもと型住宅生産者連合会

 

阪神・淡路大震災以降の建物は?

1995年に阪神・淡路大震災が発生し、同様の地震が来ても命を守れるように2000年に建築基準法が改正され、耐震基準の強化が行われました。

柱と土台や梁との接合方法や壁の配置バランスを検討しないといけなくなりました。

 

それによって、現在の建築基準法で定められる「数百年に一度発生する地震(東京では震度6強から震度7程度)の地震に対して倒壊、崩壊せず、数十年に一度発生する地震(東京では震度5強程度)の地震力に対して損傷しない」という、震度7の大地震が来ても一度は命を守れる=倒壊・崩壊しないという、とりあえず安全な建物になったのです。

 

 

残念ながら、熊本地震では2000年以降に建てられた建物で倒壊が7棟、全壊が12棟ありました。全壊だけなら2000年基準が想定している範囲ですが、倒壊があったということは、明らかに想定外であり、強い衝撃を受ける事実でした。

 

「命」と「財産」と「将来の生活」を守る家とは

それに対し、耐震等級3の建物は無被害が14棟、軽微な損傷が2棟でした。その2棟は何の問題もなく安全にその家に住める状態でした。

 

専門家の間でも耐震等級3が必要か?、オーバースペックなのでは?という意見もありましたが、熊本地震の結果によって、耐震等級3が必要ということが確信に変わりました。

 

命と財産と将来の生活を守る家=耐震等級3なのです。